連載:第1回:手術宣告からの生還と「15分の習慣」

~トップアマが辿り着いた自己治癒の境地~
北海道のゴルフ界において、その名を知らぬ者はいないトップアマチュア、高橋成司氏にインタビューいたしました。(2026/1/29)
長年、競技ゴルフの第一線で活躍してきた彼でしたが、実は常に腰の痛みに悩まされ続けていました。その苦しみは30代の頃から徐々に忍び寄り、50代後半から60歳を前にして、ついに臨界点を迎えます。一時は「松葉杖なしでは一歩も歩けない」という絶望的な状況にまで悪化し、医師からは脊椎の手術を宣告される寸前の状態にありました。
当時、高橋氏は藁をも掴む思いで、背骨治療の権威が集まるとされる愛知県の「犬山背骨病院」での受診を検討していました。すでにMRI等の検査データも送り、手術の日程を調整しようとしていた矢先、世界を襲ったコロナ禍が皮肉にもその予定を遮断します。病院への移動が困難となり、手術を先送りにせざるを得なくなった「空白の時間」に、氏の運命を変える出会いがありました。
それが、「高平ボード」です。
高橋氏がこのボードを手にしてから約3ヶ月、彼が取り組んだのは、アスリートらしい激しいトレーニングではありませんでした。
多忙な仕事の合間や、会社から帰宅する直前のわずか10分から15分、ただボードの上に乗り、教わった基礎的な動きをゆっくりと繰り返す。
これだけのことでした。それまでの高橋氏は、シーズン中ともなれば週に1回、時には2回も馴染みの整体ケアに通っていました。強張った身体をほぐさなければプレーを続けられないという、「治療依存」のサイクルに陥っていたのです。ラウンドの後半になると、痛みというよりは「腰が重く、固まって動かなくなる」という感覚に襲われ、スイングは知らず知らずのうちに手先だけで合わせる「手打ち」へと変貌していたのです。
しかし、ボード上でのエクササイズを始めてから約2ヶ月が経過した頃、驚くべき変化が訪れます。あれほど手放せなかった定期的なケアが、一切不要になったのです。「以前はラウンド後に必ず感じていた腰のだるさが、ボードを使うようになってから明らかに消えた」と氏は語ります。それは、外部からの施術による一時的な緩和ではなく、自分自身の身体の使い方が変わったことによる、内側からの変革でした。
ボードの上で高橋氏が行ったのは、右足へのスムーズな体重移動、バックスイング時の左肩の位置確認、そしてインパクトからフォローにかけての連動したイメージ作りです。不安定なボードは、身体の重心がどこにあるかを正確に教えてくれます。氏はボードに乗ることで、「自分がいかに身体を使えていなかったか」という冷徹な事実に直面しました。腰を庇うあまり、本来動くべき股関節や骨盤の動きを封印していたのです。
この「15分の習慣」は、単なる筋力トレーニングではありません。それは、痛みの記憶によって失われていた「本来の身体の動き」を、脳と神経に再構築するプロセスでした。手術を回避し、週2回の治療からも解放された高橋氏の姿は、加齢と痛みという二重苦に悩むすべてのゴルファーにとって、希望の光そのものと言えるでしょう。
作成:佐藤光弘

