【連載:第10回 身体を壊すスイングの正体】

masda

総括:100歳まで笑顔で歩き、打ち続けるための「動作処方箋」 

点と点が繋がり、「破壊のロジック」が見えてきた
 これまで、腰のヘルニア、肩の腱板断裂、肘や手首の痛みなど、多くのゴルファーを悩ませる「故障」について詳しく解説してきました。これらは決して別々の不幸が偶然起きたわけではありません。
 理学療法士の視点で見れば、すべての故障の根源には「運動連鎖の目詰まり(代償動作)」という共通した原因が潜んでいます。 「錆びついて動かない大きな歯車(股関節や背中)」を無理やり回そうとして、連結している「小さな歯車(手首・肘・腰)」に過剰な回転数を強いてきた結果、それらの組織が「過労死」してしまった。それが、あなたが感じていた痛みの正体だったのです。

身体を救う「動作処方箋」その1:役割分担の適正化
 私たちが目指す「ウェルビーイング・ゴルフ」の核となるのは、身体の各関節に「本来の仕事」をさせてあげることです。
• 動くべき関節(モビリティ): 股関節、背中(胸椎)、足首。これらは大きく、しなやかに動くように設計されています。
• 支えるべき関節(スタビリティ): 腰(腰椎)、膝、肩甲骨、肘。これらは安定し、パワーを伝える「柱」としての役割を担っています。
「腰を止めて捻転差を作る」という従来の常識を捨て、「動くべき場所を動かし、支えるべき場所を守る」。このシンプルな役割分担(Joint by Joint理論)こそが、あなたの身体を破壊から救う第一歩です。

身体を救う「動作処方箋」その2:脱力という名の「最高のサスペンション」
 多くのゴルファーが「しっかり当てよう」「飛ばそう」として全身を固めて(力んで)しまいます。しかし、医学的に見ると、この「力み」は関節の「遊び」を完全に消し去ってしまいます。
  インパクトの瞬間、身体には「衝突事故」に匹敵する凄まじい衝撃が伝わります。
 全身の力を抜くことで、筋肉や腱がしなやかな「バネ(サスペンション)」として機能し始めます。このバネが衝撃を吸収し、大切な軟骨や靭帯、骨を「微細な破壊」から守ってくれるのです。
 「力を入れないスイング」は、まさに身体の中に天然の防護壁を作る、最高の安全装置と言えます。

身体を救う「動作処方箋」その3:「歩くリズム」による機能的若返り
 ゴルフは「一方向への爆発的な運動」になりがちですが、これを人間にとって最も自然な「歩行の連鎖」に近づけることが、健康寿命を延ばす鍵となります。
  特定の部位だけを酷使するのではなく、歩く時のように全身がスムーズに連動してエネルギーを運ぶ。これが、特定の部位にメカニカルストレスを集中させない「省エネかつ高効率」なスイングの真髄です。
 身体の構造を尊重したスイングを続けることは、単にゴルフが上達するだけでなく、姿勢(アライメント)を整え、血流を改善し、身体そのものを若返らせる効果があります。

結び:ゴルフ寿命は、健康寿命そのもの
「健康のために始めたゴルフで身体を壊す」。そんな矛盾した「ゴルフ難民」を一人でも減らしたい。その思いで、私たちは医学的エビデンスに基づいた新しいゴルフのあり方を提唱しています。
 ゴルフのために足腰を鍛え、自然の中で仲間と笑い合い、100歳まで自分の足で歩き、颯爽とクラブを振る。このサイクルを続けることができれば、あなたの人生の質(QOL)は最大限に高められ、日本の高齢社会ももっと明るいものになるはずです。
 理学療法士という専門職の知恵と、増田プロが磨き上げた「身体を壊さない技術」。この二つが融合したJHGPのメソッドは、あなたの人生を守るための「動く処方箋」です。
 これまでの「形」を追うスイングを卒業し、今日からは「自分の身体を慈しむスイング」を始めましょう。100歳まで笑顔でグリーンに立ち続ける。その夢を、私たちと共に現実のものにしていきましょう。
 全10回の連載にお付き合いいただき、ありがとうございました。皆様のゴルフ人生が、これからますます輝かしく、健康的なものになることを心より願っています。”

作成:佐藤光弘 監修:比嘉 竜二先生