連載:第2回:現代スイングの「罠」とベタ足理論の誤解

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~「小指側の荷重」が導くパワーの再発見~                                                                                     

北海道のゴルフ界において、その名を知らぬ者はいないトップアマチュア、高橋成司氏にインタビューいたしました。(2026/1/29)

なぜ、現代のゴルファーはこれほどまでに身体を痛めるのか。高橋氏との対話から浮かび上がったのは、現代ゴルフ界を席巻する「ベタ足」理論や「下半身固定」の教えに潜む大きな罠でした。
 高橋氏がゴルフを始めた頃は、パーシモン(木製)クラブの時代。当時の名手たちは、バックスイングで左踵を大きく浮かせる「ヒールアップ」を行い、ダイナミックに下半身を動かして打っていました。しかし、近年のクラブ性能の進化とともに、下半身を静かに保つスイングが主流となり、高橋氏もまた、さらなる飛距離と安定性を求めて、この現代的な「足を固める」スイングを模索していた時期がありました。
「実は、そのスイング改造こそが腰の状態を悪化させた一因だったのではないか」と、高橋氏は今、冷静に分析しています。足を固めて腰を回そうとすれば、本来連動すべき骨盤の動きが制限され、その負担はすべて腰椎へと集中します。高橋氏がボード上で見出したのは、こうした現代の「常識」とは対極にある、往年の名手たちが実践していた「足を使う」感覚の再発見でした。
 特に重要な気づきは、バックスイング時における「右足の荷重位置」にありました。多くのレッスンでは、右足の親指側や内側で踏ん張ることが推奨されます。しかし、高橋氏が高平ボードを通じてアドバイスを受けたのは、驚くべきことに「右足の小指側にまで、ぐーっと体重を乗せる」という動きでした。
「そんなことをすれば、身体が右に流れる(スウェイする)のではないか」という多くのゴルファーが抱くであろう疑念が、高橋氏にもありました。しかし、実際にボードの上で極端なほど小指側に荷重し、右股関節を深く入れ込む動きを試してみると、不思議なことに鏡に映る自分の姿は、全くスウェイしていませんでした。むしろ、今まで以上に深く、力強い捻転が作られていたのです。
 この「小指側への荷重」こそが、詰まっていた股関節のロックを解除し、腰への負担を劇的に軽減させる鍵でした。右股関節が正しく入ることで、骨盤がスムーズに旋回し、上半身との美しい捻転差が生まれます。250ヤードを誇っていた飛距離が、加齢と腰痛により230ヤードまで落ち込んでいた高橋氏でしたが、この新しい(そして古くて正しい)足の使い道を習得した今、再び250ヤード、あるいはそれ以上の飛距離を取り戻せるという確かな手応えを感じています。
 倉本昌弘プロが「身体を痛めないために」と今なお実践している、スタンス時の足裏の微細な動き(パタパタと足を動かす動作)も、本質的には同じ原理です。足を地面に固着させるのではなく、常に動かせる状態にしておくこと。ボードはこの「下半身の自由」を取り戻すための、最高のナビゲーターとなったのです。

作成:佐藤光弘